養鶏所の闇〜卵が食べれなくなる未来

TKGという言葉が流行りました。卵かけご飯の略語です。

ご飯に卵と醤油お好みで辛子で至福の味を堪能することができます。

そのTKGが本当に裕福な人だけが食べれる至福の味になってしまう可能性があります。

今の世界情勢を考えると、安価で安定的な食材、原料の輸入が難しいのはご存知の通り。

本記事では鶏卵が高級食材となる可能性をご紹介させて頂きます。

現在の鶏卵の輸入量

私たちが普段食べている(国内消費)鶏卵の95%は、国内の鶏さんたちが、国内で産んだ鶏卵です。輸入割合は5%です。

鶏卵の自給率95%ということを考えると、すごいことですね。スーパーに並んでいる卵は100%国産です。

鶏卵は生物(なまもの)なのでアメリカやヨーロッパなどからの遠方の国からは輸入することが難しいです。

輸入の場合は下記写真のように冷凍液卵として輸入されます。

輸入される冷凍液卵の多くはアメリカと中国で格安です。

国内でも冷凍液卵の製造はされていますが、遺伝子組み換え配合飼料やホルモン剤、抗生剤が打たれている可能性は非常に高いと思った方が良いです。

ちなみに、ラベルでの表記名は下記のように液卵のように「液〇卵」と表記されていることが多いです。

卵自体の輸入量は少ないので、卵が高級食材になることなんて想像もできないでしょうが、実はそうでもありません。

鶏の飼料の9割以上は輸入飼料

おかしな話です。9割の卵は自給しているが、鶏の育てるための餌は9割以上が輸入に頼っているのです。

輸入飼料にここまで頼らざるを得ないのか?飼料を自給することはできないのか?

そもそも、戦前の日本では家畜を大規模に行うということは今ほど支流ではなく、各家庭に鶏、牛、豚などを飼い、人間の食糧廃棄物などを与え、自分の家庭で食べる範囲で飼育するのが支流でした。

日本の状況に対し、当時のアメリカは穀物があまりに余っていたので、アメリカの穀物を飼料として輸入するというビジネスを展開した結果が今に至るわけです。

「餌を安く売るから、大規模に家畜農家さんを増やしてくださいね」というのが始まりで、決して元々家畜の飼料が十分あったうえで家畜農家が増えたわけではないのです。

今では米を家畜の飼料にしようとする動きがあるようですが、現実的に考えてさらに稲作農家さんを苦しめることになるのは明白です。

飼料の9割以上を輸入に頼っていると言うことは、飼料の輸入が止まれば、日本の鶏農家さんは9割が潰れるのと同義です。

世界的な穀物高騰

現在ウクライナ紛争、歴史的な円安、中国の食糧買い占め問題などの影響で、ここ数年で家畜飼料の金額が高騰し続けています。

詳しくは「日本の酪農家が3年以内に滅亡する理由をわかりやすく書いてみた」で書いたので読んでほしいです。

参考:https://www.chosyu-journal.jp/shakai/23933

飼料の高騰が起きていると言うことは、飼料が手に入りづらくなっていると言うことです。

鶏の飼育に必要な飼料量は牛や豚に比べれば、格段と少ないので牛や豚に比べれは比較的影響は受けづらいが、確実に鶏農家を苦しめる要因となります。

参照:https://www.asahi-net.or.jp/~my9y-hris/tori/tishiki/kihon/cmdori/cmdori.html

鶏のヒナ輸入は9割以上

日本養鶏所で飼育されている9割以上がコマーシャル鶏という鶏です。上記の画像でいう実用鶏に当たります。

鶏卵をたくさん産んでくれて、死にずらい優秀な鶏のことを「コマーシャル鶏」と呼びます。

コマーシャル鶏の特徴は一代限り優秀であり、鶏卵から産まれるヒナはコマーシャル鶏のように家畜に適した大人には決してなりません。

そのため、養鶏所を運営し続けるには、コマーシャル鶏のヒナを仕入れ続ける必要があります。

コマーシャル鶏のヒナの98%は輸入に頼っているのです。

参照:http://www.nlbc.go.jp/hyogo/kokusankei/gaiyou/

飼料は9割以上が輸入、ヒナも9割以上が輸入です。日本の鶏さんたちはほぼ100%輸入の力で存在しているのです。

スーパーに並んでいる鶏卵はほぼ100%が国産なのに、ヒナや飼料が9割以上なんて怖くて信じたくないですよね。

国産原種鶏は2%

日本に存在している鶏の約98%は輸入されたコマーシャル鶏のヒナから育てられたか、輸入された原種鶏から生まれたヒナから生まれたコマーシャル鶏です。

輸入が途絶えた時、現状輸入が止まった瞬間に養鶏所の鶏の数は、維持することはできなく減り続けて98%が消えます。

これが日本の養鶏所の闇です。

残されているのは、国産原種鶏をしっかり増やしていくことしかない。

ちなみに、日本で国産原種鶏を一番取り扱っているのは、独立行政法人家畜改良センター 兵庫牧場です。

応援していきたいですね!

参照:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1612/spe1_04.html